ビジネス書から学んだ価値ある一節

経営、ビジネスに関わることを中心に、ビジネス書から私が学んだ「重要だと思ったキーワードや一節」を最大3つまとめていきます

変化の時代こそ、「仕組みが9割 仕事はシンプルに」を大事にしたい

38億円赤字からの「V字回復」を実現した経営者が語る、シンプルな仕事哲学。「仕事の仕組み」、「決まったことを、決まった通り、キチンとやる」だけで生産性が3倍、その「2000ページのマニュアル」の秘密とは何かが気になり読んだ本。「決まったことを、決まった通り、キチンとやる」ことの重要性が再確認でき、仕組化による改善イメージがもてる一冊。なお、「マニュアル」の事例は少しだが、その背景・根底にある価値観が理解でき、「仕組化」に悩んだ時には読みたい一冊。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. マニュアルの各項目の最初には、何のためにその作業を行うのか— 「作業の意味・目的」が書いてあります。これは、「どのように行動するか」だけでなく、「何を実現するか」という仕事の軸をぷれさせないためです。(P15)
  2. 社員一人ひとりのモチベーションを上げ、能力を最大限に引き出し、組織を強くするのは、劇的な改革ではありません。必要なのは、地道な仕事の習慣を根付かせることだと、断言できます。(P31)
  3. ビジネスモデルを見直して、それから仕組みをつくっていく。その仕組みに納得して、実行するうちに、人の意識は自動的に変わっていくものなのです。この順番が間違っていると、せっかくの改革もムダに終わってしまいます。(P47)

出典:「無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい (ノンフィクション単行本)」 松井 忠三 (著) 角川書店 (2013/7/10)

感じたこと、気付いたこと

仕事の仕組を形にしたものがマニュアル。仕事の仕組であるから、「作業の意味・目的」がある。だから改善のための視点(基準)が与えられ、個人ではなく組織による効果的な改善が可能と理解した。

そして「地道な仕事の習慣を根付かせること」のために、マニュアルというツールがある。

人をコントロールするためではなく、人を活かし、仕事に生き生きと取り組み、成果を出すためのツールとして仕組化・マニュアル化を活用することに、ポイントがあると理解できた。

正しい仕事の習慣を習得するために、マニュアルを活用するという視点が、自分にはまだまだ不足していた。だから仕組から入って、人の意識を変えていく方法も有効である(組織の風土として意識を変化)。

一方で実際に実現していくためには、経営者に「仕組化で改善していこうという一貫した姿勢・行動があること」が大事だと思った。一部だけを真似してもうまくいかないと思う。 著書を読む中で、マニュアルではないポイント、つまり、マニュアルを活用するための仕組・風土こそが重要だと再認識した。

その他にも、残業削減のポイント、デッドラインを管理するDINAというシステム(DeadLine (締め切り)、Instruction (指示)、Notice (連絡)、Agenda(議事録))など、経営において参考になる考え方が多数あった。

「仕組化」に悩んだ時には読みたい一冊。

無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい (ノンフィクション単行本)

学習強化のポイントは、ドーパミンの放出。そのためにはプレッシャーも大事。

ドーパミンを放出させる強化学習」など、ドーパミンと学習の関係、効果的な学習法を再確認したいと思って読んだ本。脳の仕組を活かした勉強法として、わかりやすい内容だった。ドーパミンによる行動の原理が理解できる一冊。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. どのように勉強すれば、脳を喜ばせることができるのでしょうか? これには次の三つのしくみが必要です。
    (1)「ドーパミン」による「強化学習」によって、脳を強化する。
    (2) 「タイムプレッシャー」によって、脳の持続力を鍛える。
    (3) 「集中力」を徹底的に身につける (P12)
  2. そもそも、脳の働きの本質は「自発性」です。脳に何かを強制することは、とても難しいのです。脳はポジティブな期待やほめられた体験を、とてもよいものとして受け止めま す。だからこそ「教育過程においては基本的に、ほめることが大切」といわれているわけ です。 (P26)
  3. 記憶力を強化したり、集中してクリエイティブな仕事をするには、「朝のゴールデンタイム」を積極的に活用することがおすすめなのです(P91)

出典:「脳を活かす勉強法 (PHP文庫)」 茂木 健一郎 (著) PHP研究所 (2010/9/1)

感じたこと、気付いたこと

ある行動のあとに、脳の中で「報酬」を表す物質(ドーパミン)が放出されると行動が強化、繰り返される(ABCモデルも同様のサイクルと理解)。考えれば当然のことに思うが、自分がこれをビジネスの場面にどれだけ活かせているかというと疑問に感じた。 上手くいかない時ほど、報酬よりもペナルティをつい活用してしまいがちになる。

行動に対して自分が報酬だと感じられるものが大事。そのためには「自発性」も大事であるが、組織の目的と合致させることも必要である。細かなことの前に、まずは目的や協働性、コミュニケーションだけに徹することが長期的な成長になるように思った。

また、記憶力やクリエイティブな仕事の両方に「朝のゴールデンタイム」が良い。良く言われることだが、その実践が大事。そのためにも優先順位の高いことからスケジュールを埋めて、夜に向けてルーティンの仕事や雑用をしていくことを大事にしたい。

その他に、「様々なモダリティ(五感など)からアクセスすると、記憶が定着しやすいこと」、共感回路や偶有性など、学習時の参考となるキーワードがあった。「安全基地」と「過保護・過干渉」との違いなどもなるほどと思った。 脳をやる気にさせる考え方として参考になった。

脳を活かす勉強法 (PHP文庫)

人の行動を理解するうえで、シンプルで使いやすい「ABCモデル」

組織の成果を出していくために、行動を変えてほしい人への接し方、伝え方を改善したいと思い、読んだ本。教え方、組織活性化のヒントが多い一冊だった。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. ABCモデルとは次の三要素からなる。
    ・先行条件(Antecedent)‥・行動のきっかけとなる目的、行動の直前の環境のこと
    ・行動(Behavior)‥・行為、発言、振る舞い
    ・結果(Consequence)‥・行動によってもたらされるもの、行動した直後に起きた環境の変化のこと
    問題行動を変えようとするとき、ABCモデルによって現状を分析することが大変役に立つ(P113)
  2. 望ましい結果が得られることを学習したとき、人は同じ行動を繰り返そうとするのだ(P120)
  3. 望ましい行動を繰り返させるために
    行動を増やす――。行動を減らす――。
    上司の選択肢はこの二つしかない。実行する上で重要なのは、いかにポジティブなリインフオースを与えていくか、いかに罰やペナルティを使わないようにするかである。(P141)

出典:「短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント」 石田 淳(著) ダイヤモンド社 (2007/9/29)

感じたこと、気付いたこと

ABCモデルは、人の行動を理解するうえで、シンプルで使いやすいと思う。先行条件に基づいて、最初の行動があり、その結果が次の先行条件になると考えると、なぜ人が行動が続かないのか理解できた。 行動を増やすか、減らすか、その選択肢しか上司にはないのだから、今問題と捉えている行動は、どういう先行条件で実施され、本人がどんな結果を得ているのか、この状況を把握できずに色々と対策を考えても効果的な対策が打てないのはそのとおりだと思う。

その上で、著者が考える「PST分析」の視点で考えると、解決の糸口が見つけられると理解した(もちろん、人なのでそう単純にはいかないが)。できない理由には「やる気がない」もあると考えるが、その「やる気」も結果から生まれるものだと思う。

また、できない理由は「やり方自体が分からない」「やり方は分かっているが継続できない」の2つとのこと。問題をシンプルに考えるため、著者が紹介する結果を出すための5つのステップ「ピンポイント」「メジャーメント」「フィードバック」「リインフオース」「評価」で、組織を変える方法を考えていきたい。

短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント

そもそもマネジメントとは何なのか?

「マネジメント」とは何か? 他の経営管理のキーワードとのつながりや相互の関係など・・・ドラッカーへの理解を深めたくて読んだ本。 基本的なこと、大事にすべきことが、わかりやすい言葉で示され、ドラッカーの教えを本質的に理解したい人にお薦めの一冊だと思った。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. 人と組織の強みや創造性を最大限に引き出して経済的、社会的に価値ある成果をあげることがマネジメントです。(P9)
  2. 変化を機会ととらえるイノベーション思考と、その機会を自社の強みによって活かす戦略思考は、両者が保管しあうモノです。(P140)
  3. 組織は、棄てるよりも、むしろ増やすことが得意です。そのため、「TODoリスト」と同様に「To Stop」リストを活用するという考え方も話し合ったことをおぼえています。(P142)

出典:「ドラッカー・スクールで学んだ本当のマネジメント」 藤田 勝利 (著) 日本実業出版社 (2013/7/20)

感じたこと、気付いたこと

そもそもマネジメントとは何なのか? 分かるようでいてしっくりとこない定義がある中で、私にとっては「人と組織の強みや創造性を最大限に引き出して経済的、社会的に価値ある成果をあげること」という一節が、シンプルでいて最も納得感が得られた。

イノベーションと戦略思考が変化の時代においては同義であることも新たな確認。ドラッカーの著書にもあったのかもしれないが、今回ようやく両者の関係性を正しく理解できたように思う。

「To STOP」リストの作成は、変化の時代において重要なスキルだと思った。。 つい、増えがちな業務の生産性向上を改善するためにもが今後活用していきたい。

その他にも、「事業とは何か?」「マーケティングとは?」「イノベーションとは?」「戦略とは?」「組織風土とは?」「コミュニケーションとは?」「真摯さとは?」などなど、経営用語の本質的な意味を理解することができる一冊だと思う。 ドラッカーの著書を読んで、解釈は捉え方に悩んだら一緒に読みたい一冊。

ドラッカー・スクールで学んだ本当のマネジメント

企業家と経営者では思考が違う、ビジネスの成功と利益を獲得するための一冊

「億万長者メーカー」と呼ばれている、ダン・ケネディの考え方を参考にしたいと思い読んだ本。起業家や経営者向けの本であり、ビジネスに対する考え方を深めてくれる一冊だった。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. 普通の経営者は売り上げや事業を成長させるという観点で物事を考えるが、企業家は主に顧客の創出を通じて事業の利益を生み出すという観点で考えている。利益のカギは顧客をより多く獲得することよりも、より大きな価値を持つ顧客を見つけることにある。(P156)
  2. ほとんどの経営者が一人の新規顧客を得るためにかかる経費や、一つの商品を売るためにかかる経費を知らない。(中略)一人の顧客を得るためにどの程度まで費やしていいかを見極めるために、顧客がどのくらいの価値があるかということも知っている必要がある。(P243)
  3. 情熱は時間や慣れとともに衰えていく。(中略)賢いやり方は、変化していく自分の興味を満たしてくれるようにビジネスを展開していくことだ。(P327)

出典:「億万長者の不況に強いビジネス戦略」 著者 ダン・ケネディ  監訳者 小川 忠洋 ダイレクト出版 (2010/7/31)

感じたこと、気付いたこと

価値を感じられるような「1%に出会う」ことが多すぎて、一節を絞り込むことが難しい、内容の濃い本だった。

今回選んだ上記3つは、まず企業家と経営者では思考が違うということ。同じように捉えている部分があるが、「誰に」という顧客の創出こそが大事だと再認識した。本書中にもあったが、どうやって売るかといった方法論より先に「誰に」という視点は、企業経営の目的であるニーズに応える上で最重要な視点だと思う。

2つめに選んだ一節は、顧客の創出をしていくために大事な視点だが、確かに多くの経営者が把握していない数字ではないか。一人の顧客を得るためにどの程度の費用をかけて良いのかが分かれば、ビジネスの問題解決が効果的にできると思う。

そして、企業家が第一線で走り続けることは難しい。だからこそ、「変化していく自分の興味を満たしてくれるようにビジネスを展開していくこと」は大事。やるべきことに対して、「したいこと、できること(得意に)」の時間をどうやって増やしていくか、そのように計画していくことの必要性が確認できた。

その他に、リスク管理の考え、ビジネスアイデアの拡げ方、経営能力、セールスの重要性(医療においても)、キーパーソンの資質などなど、理屈よりも実務においてどのように考えるべきか刺激をうける一冊だった。

多様化しているからこそ、シンプルな法則で捉え、シンプルな言葉で伝えることが重要

グループウェア企業であり、イクメンや多様な働き方ができる会社の経営者が、どのような考え方で経営をされているのか関心を持ったので読んだ本。起業から上場、現在に至るまで、組織にどのような課題があり、何を考え乗り越えてきたのか、詳細に成功や失敗の分析がされている。多様性が重視される社会の中で、どのような経営が適しているのか、その原則を考えるヒントが得られる一冊だった。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. 人の行動はすべて「理想」によって引き出されている。現実に満足できず、理想を持ち、実現したいという欲望があるから人は課題に取り組む。(P52)
  2. 多様性を維持し向上させていくには、「公明正大」と自立が必要。うそをつかない事。人のせいにしないこと。(P95)
  3. 人が多様化すれば、解釈も多様化する。意見が噛み合わない状況はむしろ増えるだろう。 事実を共有できる会社にしなければ、議論のコストが上がってしまう。事実と解釈を区別して扱える会社にしよう(P100)

出典:「チームのことだけ、考えた。―――サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか」 青野 慶久 (著) ダイヤモンド社 (2015/12/18)

感じたこと、気付いたこと

目新しい知見というよりも、組織の成長の各段階でどのような経営の考え方が適しているのかの思考を深め、多様化を経営に活かすためのヒントが実践の中から参考にできる本だった。

「人の行動はすべて「理想」によって引き出されている。」という一節も決して目新しくはない。しかし、複雑に考えるのではなく、これを原則におくことの重要性と、深みを再確認できた。多様化しているからこそ、シンプルに考えるうえで大事なキーワード。

そして、多様性を維持・向上していく中では、「感謝」や「努力」、「協調」でもなく、「公明正大」と「自立」に絞り込まれている点に納得。

公明正大を実現するためにも(うそをつかないうえで)、「事実と解釈を区別して扱える会社にしよう」は重要だと思った。本人に自覚はなくとも解釈が入れば、誤った情報(嘘)として人に伝わる。事実と解釈を区別することは(私の場合は「事実と意見を区別する」と習ったが)、多様性を維持・向上していくうえで更に重要となっていると理解した。多様化しているからこそ、シンプルな法則で捉え、シンプルな言葉で伝えることの重要性を再認識した。

著者は、「私が使えなければ意味がない。私が日々判断し、行動していくときに使える等身大の法則を見つけ出さねばならない。(P50)」と語られている。問題に直面した時、情報を収集し、言葉の定義を行い、要素を分解して、シンプルな法則を見出して解決していく考え方で説明されているので、自社の参考にするうえでも何を適用するかの判断がしやすく、非常に役立つと思う。その他にも、チームとは何か、モチベーションとは何か、コンセプトとは何かなどもシンプルな定義で参考になった。

チームのことだけ、考えた。―――サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか

お客様に喜んでもらうこと。それは全ての人にではなく「特定の人に」でないと、中途半端で存在価値がなくなる。

ドラッカーの教え」を実務で活かすイメージ、方法を知りたくて読んだ本。著者が言われる「成果を上げるための話し合いのツール」として13個のエクササイズがあり、組織内で自社の考えを整理するのに役立つ一冊だった。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. 一つ目は、仕事を通してお客様に喜んでもらうこと。2つ目は働く一人ひとりが働き甲斐をもって働けるようにすること。3つ目は、社会に悪い影響を与えないこと。人間は万能でないから、組織はこれを大前提にしなければなりません。(P54)
  2. どんなに優れた会社であったとしても、全ての人に全てを提供することなど出来ません。 できることは「特定のこと」を「特定の人に」提供することです。(P121)
  3. マネジメントとは、「人と社会のお役に立つこと」です。 ゆえに組織の目的は、「人と社会にお役に立つための目標を立て、それを達成すること」(P188)

出典:「なぜ、あのガムの包み紙は大きいのか ドラッカーに学ぶお客様を幸せにする会社の作り方 (角川フォレスタ)」 山下 淳一郎 (著) 角川学芸出版 (2012/12/8)

感じたこと、気付いたこと

組織のあり方を理解するうえで大事なポイントが、理解しやすい言葉で頭にイメージとして入ってくることができた。お客様に喜んでもらうこと。それは全ての人にではなく、「特定の人に」が大事だと再認識。つい、総花的に考えて、結局誰にも喜ばれない中途半端な対応になることを自戒したい。大手企業は「特定の人に」の規模が大きいビジネス、中小はそれと同じことをやっても成功できない。客数×単価で考えれば、「特定の人に」を絞るなら、単価(顧客にとっての価値)が高いことを、まず目指す方が良いと理解した。 そして、単にお客様に喜んでもらうことで、社会に悪い影響を与えるようなことは続かない。これらの点を押さえて、本質をとらえた思考をしていきたい。

また、13個のエクササイズは的確な質問で、自分たちの中にある「より良い答え」を引き出すときに役立つ。「私たちのミッションは何か」とそのチェック項目、「8つの領域で目標を決めていく」「まずはやらないことを決める」などは、目標設定時の参考にしたいと思う。

なぜ、あのガムの包み紙は大きいのか ドラッカーに学ぶお客様を幸せにする会社の作り方 (角川フォレスタ)