読書の生産性(アウトプット/インプット)を考えてみる
読書方法を改善する視点が欲しくて読んだ本。本を読むスピードが遅いと感じている方が、ビジネス書を読むスピードを上げたいと思ったら参考になると思う。
この本で私が重要だと思ったキーワードや一節
- 読書の本当の価値は、書かれていることの「100%を写しとる」ことではなく、価値を感じられるような「1%に出会う」こと(P33)
- 「なぜこの1行に感動したのか?」という観点で、一口メモを書く(P91)
- 読書スピードを高めるための方法は(中略)、
ステップ1 「はじめに・目次」をよく読む
ステップ2 最初と最後の5行だけ読む
ステップ3 キーワードを決めて読む
ステップ4 2つ以上の読書リズムで読む(P116)
出典:「遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣」 印南 敦史 ダイヤモンド社 (2016/2/26)
感じたこと、気付いたこと
「何のためにビジネス書を読むのか」を再確認できる一冊。自称遅読家の方が「1ページ5分」から「年間700冊超」になったメソッドを紹介。人によっては、再確認の内容も多いと思う。
読書の生産性(アウトプット/インプット)を考えた場合、 アウトプットは、行動の変化や思考・価値観への刺激 インプットは、読書時間 と考える。その点で価値を感じられるような「1%に出会う」を目的にすること、その理由をメモすることは理にかなっている。もちろん、アウトプットがあっての生産性であるから、読書をしないという選択肢は考えられない。
そのために、目次の情報は大事である。 本書の「フロー・リーディング」という考え方は、ビジネス書を読む時間がないと言われる方に勧めたい。
記憶力の土台には、論理的な文章の3つの法則「イコールの関係」「対立関係」「理由付け・因果関係」が大事
記憶術について、予備校カリスマ講師であり、教育のプロがどのように考えているかを確認したくて読んだ本。記憶術について気楽に読みたい方の一冊。
この本で私が重要だと思ったキーワードや一節
- 記憶力の土台は論理力にある。論理的な文章の3つの法則「イコールの関係」「対立関係」「理由付け・因果関係」を知ること。(P135)
- 「セレゴ・メソッド」は記憶の段階を次の四つに分類している。 (P140)
・ファミリア(familiar)=親近感
・リコグニション(recognition)=見分ける
・リコール(recall)=再生する
・オートマティック(automatic)=自動的→習熟- 一度目の学習は、丸暗記ではなく、理解することを考える。二度目の学習は、一時間以内に行なう。これが確実に、しかも効率よく覚えるためのスケジューリングの第一鉄則となる。(P166)
感じたこと、気付いたこと
ITが進んでいる現状では、記憶すること自体の優位性は薄れていると思うが、創造的な思考をする上で最低限の記憶は必要と思う。「考える力」を上げるためにも、「記憶力の土台は論理力にある」というメッセージには共感する。
記憶術について、エビングハウスの忘却曲線を用いて分散学習のメリットの説明など、関連する書籍を読んだことがある人には目新しい情報は少ないが、受験生の勉強状況に応じた記憶法の説明は、具体的な行動を理解しやすいと思う。 記憶の状況を「セレゴ・メソッド」という段階で分けて考える内容は、新鮮だった。
記憶術について気楽に読みたい方の一冊だと思う。
組織が求めているタイプに応じた人員配置をするために、類人猿診断が分かりやすい
「結果や成果をあまり追求しないタイプ」を理解したいために読んだ本。仕事の場面で、話が噛み合わないと感じたら一度読んでおきたい一冊。
この本で私が重要だと思ったキーワードや一節
- 自分にとって当たり前の意見」が、実は少数派であること。それを知ることが、類人猿分類をビジネスやチーム運営に活かす第一歩なのです。(P49)
- 成熟したボノボには、他のタイプに真似できない、度量のある上司としての資質が生まれます。(中略)ただし、そうした懐の深い人間に成長するためには、79ページでも述べたように、他者への依存心を、どこかの段階でより高度な価値観に昇華させていく必要があります。
- ゴリラタイプがトップを占める組織というのは、今あるものを安定して回していくことはできても、新しいものを生み出し、ブレイクスルーを起こすことができなくなります。
出典:「類人猿分類公式マニュアル2.0 人間関係に必要な知恵はすべて類人猿に学んだ」 Team GATHER Project (編集) 夜間飛行 (2015/9/11)
感じたこと、気付いたこと
類人猿診断の考え方は、感情を表に出すのか出さないのか、物事を追求・達成か現状維持かの2軸で考えるだけなので、非常にわかりやすい。また、この視点は組織運営における受身タイプか積極タイプを見る視点とも重なり、非常に活用しやすい考え方といえる。
「結果や成果をあまり追求しないタイプ」は、ゴリラやボノボのタイプとなるが、どういった価値観をもっているかを確認できた。また、企業の目標達成において、ボノボへのアプローチの方法が難しいと感じていたが、解決方法のヒントが得られた。各タイプに言えることではあるが、それぞれの弱さを自覚することが、強みを伸すうえで大事だと感じた。
そして、組織の結果や成果より先に「関係」に目がいくのも、保守・安定を重視するゴリラ、ボノボ。 組織の成功循環モデルでいう”関係の質”からのアプローチの意味することがようやく理解できたように思う。
現在の組織が変化を求めているのか、安定が一時的に必要なのか、その時に適したタイプが自社にいるのか、適切な配置となっているのか、採用・配置の視点として活用できる。 実務での活用例や具体的な声掛けの内容等、組織の活性化において参考にしたい。
組織とは何か? 成果を上げるための社会的機関として組織がある
マネジメントの役割について確認するために読んだ一冊。変化の時代におけるマネジメントを再考したい方にお薦めだと思う。1999年発行だが、現在でも刺激を受ける内容が多い。
この本で私が重要だと思ったキーワードや一節
- 組織における5つの原則(中略) 第四に、誰にとっても上司は一人でなければならない。(P14)
- 成果を上げるための社会的機関としての組織であるということである。そして、この組織をして成果を上げさせるための道具、機能、機関がマネジメントである。(P45)
- 成果を上げる秘訣の第一は、ともに働く人たち、自らの仕事に不可欠な人たちを理解し、その強み、仕事の仕方、価値観を活用することである。(P221)
感じたこと、気付いたこと
マネジメントとは何か?に関するヒントが多く、重要だと思ったキーワードを絞り込むことが難しかった。
組織における5つの原則はどれも大事だが、多くの人は、それぞれが同時にいくつかの組織に属することが多いと思うので、「誰にとっても上司は一人でなければならない」をどうやって実現していくかの重要性と難しさを再考する機会となった。 環境変化に対応するため、一つの組織内でさえ、複雑な組織構造となりがちである。
やはり、上司が複数いる状態は避けないと駄目だと思う。
そして、成果をあげるための社会的機関として組織があることを再認識し、そのために組織のメンバーの互いの強み、価値観を活用しようという意識や風土を根付かせる必要があることを理解した。この点だけでも組織内で共有できれば強い組織になれると思った。
変化の時代におけるマネジメントとして、多くの示唆が得られる一冊だった。
問題とは何か? 問題点とは何か? その違いを意識していますか?
問題と問題点の違い、問題解決の手法を再確認したいと思って読み返した本。以前に読んだときには理解できていなかったことが再発見でき、考え方の整理になった。問題解決能力を理解し、スキルアップしたい人は何度も読み返すべき一冊だと思った。
この本で私が重要だと思ったキーワードや一節
- 問題とは、日標と現状のギャップであり、解決すべき事柄である(P26)
- 問題点というのは原因の中で手の打てるもので、かつ手を打つ必要のあるものを言います。この二つの要件を合わせて、手を打つべき原因といいます(P40)
- 与えられた制約の下での対策が戦術であり、制約条件そのものを動かすのが戦略である。戦略によって制約条件を動かし、企業活動の流れを大きく変えることが可能になるわけです。(P212)
感じたこと、気付いたこと
日頃、悩んで頭がモヤモヤとしているときは、結局は問題の定義ができていない時と再認識。 「問題とは目標と現状のギャップ」ということを常に頭に入れて、 目標が明確でないのか、現状を正しく把握できていないのかを確認することが大事。
問題と問題点を混同して使いがちだが、問題点が手を打つべき原因と理解することは、 問題解決が効果的、効率的に可能になる第一歩。
そして、今回、再確認して分かったことは、「与えられた制約の下での対策が戦術であり、制約条件そのものを動かすのが戦略である。」ということ。たしかに、制約条件そのものをどうやって動かすかが出来れば、本質的な改善につながり、無駄な作業をしなくて良い。問題解決の本の中に、このキーワードがあったことに、この本の奥深さを感じた。
問題の構造化をどのようにして解決をするのか、制約条件がどのように関わっていくのか等、 仕事や日常の事例をもとに解説があり、頭の使い方がよく分かる本。 本書にあった、入力、制約条件、プロセス、出力と、目標とのギャップで問題を捉えて問題解決が図れると、 もっと仕事が楽になる。
脳が認める勉強法は、脳に負荷のかかる状態で記憶を検索すると良いみたい
学習に関する脳科学の全体像を理解したいと思い読んだ本。受験等に関する学習方法は本書最後のQ&Aに集約されているように思うが、広い意味で能力向上に関するヒントも多くあり、学習に関する研究の流れも理解できる一冊。
この本で私が重要だと思ったキーワードや一節
- 時間の経過に伴う記憶の性質は、減退に向かうだけでは無い。それとは別にもう一つあるのだ。その一つをバラードは「レミニセンス」と呼んだ。これは一種の成長で、覚えていると思っていなかった事実や言葉が浮かび上がってくる性質をさす。(P46)
- 「同じ内容の勉強を2回するとき、勉強する間隔を空けると2回目目の勉強が大変になると分かっているので、間隔をあけるのは非生産的だと考えてしまう」(中略)心理学者ネイト・コーネルは私に話した「だが事実はその反対だ。たとえつらいと感じても、間隔をあけたときの方が多くを学ぶ。流暢性が判断を迷わせるのだ」(P124)
- 脳は、基準となるものや特徴を保存すると、それらを使ってできるだけ大きなチャンク(情報のまとまり)を読み取ろうとするのだ(P275)
出典:「脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実!」 ベネディクト・キャリー (著), 花塚 恵 (翻訳) ダイヤモンド社 (2015/12/11)
感じたこと、気付いたこと
エビングハウスの忘却曲線は誤解をまねく曲線で、多くの人も勘違いして理解しているのでは? 分散学習の大事さなど、記憶の定着方法を伝える根拠に利用するには便利であり、一定の意味はあるが誤解していた。
勉強の2回目の間隔について、「たとえつらいと感じても、間隔をあけたときの方が多くを学ぶ」という理論があることも理解しておくべき。
記憶は、基準となるものや特徴を意識しながら覚え、脳に負荷のかかる状態で記憶を検索することが大事だと思った。
その他に、自己テストの効果や、脳科学からみた「目標を意識させることの意味」、「変化を取入れた練習の成果」といった能力向上に関するポイントが確認出来る本だった。
脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実!
戦略は足し算では無く、掛け算から生まれる
神田昌典さんが書いた「実践的な経営戦略を解説した1冊」ということで、実務で使える戦略構築法を知りたいと思って読んだ本。「スター戦略構築法」という手法で、「商品」「顧客」「競合」「収益シミュレーション」「タイミング」「メッセージ」を一連の流れで考えることができ、実践的な戦略策定の参考になる本だと思う。
この本で私が重要だと思ったキーワードや一節
売れる仕組は、掛け算。足し算ではない(P41)
新規客に販売するコストは、既存客に販売するコストの40倍(P58)
戦略とは自社の強みをさらに伸ばし、そして事業環境の変化の流れに乗ることである(P201)
出典:「60分間・企業ダントツ化プロジェクト 顧客感情をベースにした戦略構築法」 神田 昌典 ダイヤモンド社 2002年12月07日
感じたこと、気付いたこと
上述のキーワード以外にも、ライフサイクルの考え方やニーズとウォンツの違いなど多くの学びがあり、複雑に考えがちなことを、シンプルに考える刺激が得られる本だった。 戦略を考えるうえで、何度も読みたい一冊。
自社の強みで勝負するからこそ、余分な戦い(取組)が不要になる。 掛け算が可能な仕組(システム)で考えるからこそ、余分な戦い(取組)が減り、効果的・効率的に改善が出来る。
「掛け算が可能な仕組」で考えるためには、目的や全体像を把握しておくことが必要だと思う。しかし、その把握が自分は不足していたと思う。
現状、ビジネスが大きくなっていないのは、足し算で考えた内容で、積み上げの余分な仕事が多いことが要因である。
また、既存客に販売するより、新規客に販売するコストが大きいことを再確認(40倍の根拠は、また考えたい)。 購入してもらえる信頼関係づくりのコストが大きい。 既存客には、自社の強みにつながる「自社を選んでもらった」という事実が存在するので、その確認を大事にしたい。