ビジネス書から学んだ価値ある一節

経営、ビジネスに関わることを中心に、ビジネス書から私が学んだ「重要だと思ったキーワードや一節」を最大3つまとめていきます

経営計画の策定は、予測できない「顧客のニーズを予測する」が前提になっている?? だからこそ注意すべきことがある!

「自分たちがコンサルタントとしてクライアントに勧めてきたことは、あれもこれも間違っていた」というキャッチにひかれ、コンサルティングの何が失敗だったのか確認する目的で読んだ。これまで実施してきた「目標による管理」「競争戦略」「人材開発プログラム」など、何を実施し、どのような失敗があったのかがわかり、経営手法を用いる時の注意点が理解できる一冊だと思う。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. 戦略策定の実行における問題は、戦略策定は、今後の経済状況や、業界の変化や、競合他社の動向や、顧客のニーズを予測できることが前提となっている点だ。しかし、そんなことがまともにできる人間はいない。(P49)
  2. 問題は、人びとが戦略計画イコール解決策だと信じてきたことにある。だが、計画自体にはほとんど価値はない。名高い将軍たちが示したとおり、計画を立てる過程にこそ価値があるのだ。(P59)
  3. 評価基準は洞察を得たり知識を高めたりするのには役立つが、目標になってはならない。さもないとそれ自体がマネジメントのシステムになってしまう(P136)

出典:「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」 カレン・フェラン (著), 神崎 朗子 (翻訳) 大和書房; 初版 (2014/3/26)

感じたこと、気付いたこと

経営計画とは何か? 作成する目的は何かについて再考させられた。なんとなく経営計画と実態に乖離があるのは何故か? 適切な経営計画をつくることの難しさを感じていたので、顧客のニーズは予測できない、計画自体にはほとんど価値がないというメッセージで腑におちた。経営計画を作成すること自体に意味はあるが、目的がずれていたと思う。 また、目標による管理についても、目的と目標の違いや、その手法の誤った活用の弊害を再確認できた。多くの企業は、この点を理解できていないと思う(実際に、コンサルタントの方も間違っていたぐらいなので)。 説明のあった目標の事例で、 (1)半年で10キロやせる (2)体力をつけ、心身の健康状態を改善する では、一見(1)が正しいように言われるが、そうとは言えない。 ドラッカーも「目標による管理」であって、「目標管理」でないことを理解することが重要だと思う。

広く活用されている経営手法について、疑問を感じている方は本書を読むことで、やっぱりそうかと納得ができ、何に注意して活用すべきかのヒントが得られると思う。

効果的な復習に、行動科学の視点が参考になる

行動科学に基づいた復習とは?を知る目的で読んだ本。過去の著者の本、行動科学を再確認しながら具体的に復習をどのようにするのか具体的なイメージが持てる本。教育を受講する側にとっても価値あるが、実施する側にも価値ある本だと思う。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. 学力向上のために地道な努力は必要ですが、みなさんがすべきことはたったの2つしかないのです。それは
    ・(お子さんに)勉強のやり方を知ってもらうこと
    ・(その勉強のやり方を)継続する方法をしってもらうこと(P18)
  2. 復習の流れチェックシート「書き出し」
    【1】その日の授業の内容を何も見ずに書き出したか?
    (1)教科名を書いたか?
    (2)その授業のテーマを書き尽くしたか?(後略)(P45)
  3. ターゲット行動を増やすときは、次のような流れになります。
    1)行動のヘルプ(補助)を作る
    2)動機づけ条件をつくる
    3)行動のハードルを低くする(P71)

出典:「行動科学に基づいた驚異の「復習継続法」」 石田 淳 (著), 長野雅弘 (著) パンローリング株式会社 (2014/8/9)

感じたこと、気付いたこと

効果的と言われる分散学習だが、実際には行動を継続できない人が多い。まずこの点で、行動科学のアプローチで分散学習(復習)を継続する方法が明示され、効果的な方法の一つだと思う。

復習という「人によって手順が異なる」「具体的な行動があいまい」といった行動を、準備、書き出し、点検・学習、完成、発展の5段階の視点で「復習の流れチェックシート」で具体的に示されているのは、自分なりのチェックシートを作成するうえでも参考になると思う。

また、「思い出し」という行動を具体的にし、アウトプットによる記憶効果もあるように思った。 「目標シート」「復習チェックシート」「継続シート」など様式が参考になる。

行動科学に基づいた驚異の「復習継続法」

「考える力」を引き出したいからこそ、行動科学でのアプローチが効果的

短期間で8割の「できない人」を「できる人」に変えると絶大な支持を集める、日本の行動科学マネジメントの第一人者の「教える技術」。「ほめ方」「しかり方」はもちろん、新人・中途社員・大人数など場面で使える55のメソッド・・・という紹介文を読んで、教育方法の参考にしたいと思い読んだ本。

教える側の立場にたった内容で、教え方を教わったことがない人にとって参考になる一冊(もちろん、私も)。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. 「教える」とは、相手から「望ましい行動」を引き出す行為である(P25)
  2. 「考える力」を引き出したいなら、「考える」という過程を一つひとつの「行動」に細かく分析し、その手順を見せたり説明したりしなければいけません。(P105)
  3. 行動を具体的に言語化しようとするとき、おおいに参考になるのが、行動分析学で行動を定義するときに用いられる「MORSの法則(具体性の法則)」です。(P72)

出典:「行動科学を使ってできる人が育つ!教える技術」 石田 淳 (著) かんき出版 (2011/6/21)

感じたこと、気付いたこと

教えるとは、望ましい行動を引き出す行為として、行動で状況を判断する必要があると再認識。

行動でしか結果は変らず、まず行動に焦点をあてれば、目に見えない思考や性格原因分析の手段にすぎない。だからこそ「考える力」を強化したいなら、その過程の行動を細かく分析して、その行動に働きかける必要があると理解した。 また、「具体的な行動に」が伝わらないケースもある。具体的とは何かを伝える時にはMORSの法則で伝えるのが良いと感じた。

劣後順位の必要性、ほめるターゲットは「部下の性格ではなく、あくまで行動」、モチベーションについても行動の回数で判断するなど、実現再現性を求める科学的なアプローチにには測定出来ることが必要。「短期間で組織が変わる 行動科学マネジメント」とともに、今後参考にしたい。

行動科学を使ってできる人が育つ!教える技術

幹部に自分の思いを伝える時は、「一つに絞り、短く伝える(10文字以内)」を繰り返す。

効果的な幹部の育成方法を知りたいと思い、読んだ一冊。社長の「幹部に対する悩み」の考え方、解決策が具体的な会話で50事例あり、参考になる一冊だった。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. 社長の譲れないおもいや考えに合わない幹部であれば、時間をかけ話し合ったうえで卒業してもらいましょう。(P17)
  2. 幹部に伝える時は次の工夫をしましょう
    1)たくさん伝える → 1つだけ伝える
    2)長く伝える   → 短く伝える(10文字以内)
    3)仕事・会議だけで伝える → 雑談・飲み会でも伝える(P27)
  3. 幹部に経営の内容をオープンにし、社長と共に悩み苦しみ続けることで幹部の目線が変っていきます。(P334)

出典:「幹部に言えない社長の悩み解決大全」 白潟 敏朗 (著) KADOKAWA/中経出版 (2015/2/28)

感じたこと、気付いたこと

幹部に必要な前提条件として、社長の譲れない思いや考えに合うことは、非常に大事。細かな手法レベルの考え方は違う方が最適な解を見出しやすいと思うが、経営のベースになる価値観は同じでないと駄目。 考えが合わない場合には、どうやって卒業してもらうかを考えていく必要がある。

価値観を伝えていくうえでも、「短い言葉」を何回も伝えることが大事。聞く側の立場で考えても、長い話は頭に入らない。短いけれど、深みのある言葉を考えて使う必要性を再認識した。

そして、社長と幹部との目線を合わせるには、持っている情報の量・質・も近づける必要がある。情報の量・質が違えば、目線は合わないのは当たり前だと再認識。

上記のキーワードは、参考になった箇所のほんの一部。 幹部の前提条件、自己診断シート【部下からの信頼編】、振り返り帳、幹部がやる気にならない原因と解決編、幹部が習得すべき知識例やリーダーシップ発揮に必要な能力など、課題整理に役立つ内容が多かった。

幹部がなかなか育たない、マネジメント力がない。幹部の登用と中途採用はどうするか? ポストの設定と権限委譲のコツは? 幹部の処遇をどう決めるか? 提案力や経営力をつけさせるには? といった悩みがあったら、今後参考にしたい。

幹部に言えない社長の悩み解決大全

200人超の学生アンケートの分析。両親の家庭教育を振り返って感謝している点、直してほしかった点を知りたい方に

「育児本」にして、本質的には「リーダーシップを伸ばすビジネス書」、著名教育者からの圧倒的な支持というキャッチを見て、教育に関する視点を増やしたいと思い読んだ本。「東大・京大・早慶を中心とした学生の中で、学生時代に突出したリーダーシップを発揮してさまざまなグローバル企業に進んだ学生」(200人超)が親の教育をどのように評価しているのかを知りたい人にお薦めの本。両親の家庭教育を振り返って感謝している点、直してほしかった点のアンケート結果に基づいた書籍で、この書籍をもとに自分なりのメッセージを作りたい方向けだと思う。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. コミュニケーション能力の中でもとくに重要なのが「パースペクティブ・テイキング」(相手の視点で物事をみること)、相手と視点やフレームワーク、価値観、見ている全体像が違うときに、相手の視点に立って考えられるかどうかだ。(P166)
  2. 子供に勉強させるうえで、この「周りの人も頑張っている」という環境要素は決定的な影響力を持つ。(P223)
  3. 何でもただ褒めるのではなく、子供の努力を引き出すために「どうほめるか」が親の腕のみせどころ(P325)

出典:「一流の育て方―――ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる」 ミセス・パンプキン (著), ムーギー・キム (著) ダイヤモンド社 (2016/2/19)

感じたこと、気付いたこと

相手の視点にたって考えることをどのように教育していくか、それが大人になってからも組織で成果を出すときに必要な能力だと思う。そのためにどうするかの正解は分からないので、試行錯誤することに成りそうが・・・

また、教育する側の立居振舞、環境はやはり大事だということは再確認。そして、成果より、長期的な成果につながるであろう行動を褒めることが大事というのは、他のビジネス書にも共通するところだと思った。

答えを欲して読むのではなく、教える側の行動を振り返る視点を得る目的として、参考になる一冊。

一流の育て方―――ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる

組織内の「変える」「変えない」の対立、その解消に有効な考え方はこれ!

TOCの思考プロセス、全体最適で問題の根本から解決する方法を再確認したいと思い読んだ本。みんなが納得する「対立解消術」の思考は、組織内の「変える」「変えない」の対立を解消するために有効な手法だと改めて感じた。経営に関する問題解決(全体的な問題解決)に悩んだときに読みたい本。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. 「変える」と、なぜ「安全を確保する」ことができないと思っているのですか?」(中略) 「変える」ことで、「安全を確保する」方法は本当に無いのでしょうか?(P31)
  2. 「変えない」と、なぜ「チャレンジする」ことができないと思っているのですか?」(中略) 「変えない」ことで、「チャレンジする」方法は本当に無いのでしょうか?(P33)
  3. 高くジャンプしようと思ったら、安定した土台は不可欠だ。不安定な場所で思いっきり飛び上がれと言われても、怖くて小さなジャンプもできやしない。成長を支えるのが人であるという現実を見つめるなら、「安定」があってこそ「成長」が可能となるのだ。(P158)

出典:「全体最適の問題解決入門―「木を見て森も見る」思考プロセスを身につけよう!」 岸良 裕司 (著)  ダイヤモンド社 (2008/8/1)

感じたこと、気付いたこと

多くの問題解決手法が、問題を分解・分析して解決策を考察しており、結果、「木を見て森を見ず」の解決策に陥りかねないという指摘は確かにそのとおりだと思う。全体の構造を明らかにし、「つながり」を理解したうえで改善するアプローチは、理解していそうで自分自身は不十分だった。

多くの「変える」「変えない」の対立はどういうつながりから発生しているのか? 本書に書かれた「誤った思い込みを導き出す手法」は、誰もが理解しやすい質問であり、「正しい質問」のヒントが得られる。

最近読んだ類人猿診断でも「物事を追求・達成か、現状維持か」の判断軸があった。人のタイプとしてこの両タイプは存在するものだと思う。

ただし、この両タイプは決して対立するべきものではなく、「安定」があってこそ「成長」があるということを再認識した。

みんなが納得する「対立解消術」以外にも、つなげて見える「現状把握術」、逆転発想でつくる「未来構想術」、中間目標に集中する「目標達成術」、先を読む力を鍛える「実行手順立案術」、全体最適でみんなをつなぐ「戦略戦術実践術」 等、ぜひ覚えたい術だと思う。

全体最適の問題解決入門―「木を見て森も見る」思考プロセスを身につけよう!

ビジネスパーソンの成長段階は10ステージ。その成長段階と育成方法には共通性がある

「新人、ベテラン両方に聞く仕事の適切な割り当て、タイミングの合った支援、公平な評価ができる、教え方・育て方の「ものさし」、というキャッチをみて、タイプ別の教え方のポイントを知りたいと思い読んだ本。部下の段階に応じた育成の考え方として、参考になる一冊だった。。

この本で私が重要だと思ったキーワードや一節

  1. ・部下には段階がある
    ・段階に合わせた育成方法がある
    ・段階と育成方法は業種や職種を問わず普遍性がある。(Kindle 位置No.26)
  2. しかし最近は、組織の一人ひとりがどのような役割を担い、周囲からどのような期待を受け、どの程度の力量を持っているのか、部下の(成長)段階が見えにくくなってきた(Kindle 位置No.274)
  3. Off-JTトランジションの入口のサインや出口のサインを気づかせるための有効な機会だと考えられる(Kindle 位置No.1322)

出典:「部下育成の教科書」 山田 直人 (著), 木越 智彰 (著), 本杉 健 (著) ダイヤモンド社 (2012/3/9)

感じたこと、気付いたこと

部下の成長段階に合わせた育成が必要。 そして、その段階に合わせた育成に業界や職種を越えた共通性があるということがメッセージの一つ。

ビジネスパーソンの10ステージが明示され、それぞれのポイントが整理されているので、 まず部下の現状把握に活用すると、育成方法における課題が整理され、効果的・効率的な育成ができると思った。

そして、環境の変化、組織の変化スピードに対して、各自に求める役割等が整理しきれていないために、 育成のスピードが上がっていないことを再確認。 これは上司側の問題としてきっちりと受け止めるべき。

研修の必要性について少し疑問を感じていたが、 off-JTトランジション(成長段階の変わり目)の入り口や出口のサインを気付かせるための機会という説明で、その必要性がしっくりときた。

部下に何を求めるかの視点、成長段階を意識して育成する視点として、今後参考にしたい。

部下育成の教科書